9月20日、239回目のJ.I.フォーラムを開催しました。
≪開催概要≫
「自治体発『ふるさと住民票』というアイデア」~「関係人口」を増やしゼロサムからプラスサムへ~
構想日本と12の自治体で、2015年から「ふるさと住民票」の活動を進めています。
住民票はないけれど故郷に愛着がある、仕事や介護で複数の地域に住んでいるなど、現代人は自治体に対してより柔軟な関係を求めています。これに対して「ふるさと住民票」は、人々と自治体の「複線的な関係」を提供しようというものです。そして、実施5市町村は「ふるさと住民」が400名余増えたのです。
今、各地で人口増の取り組みが行われていますが、日本全体の人口が減る時代には、所詮「とりあい」に終わります。
しかし「関係人口」すなわち地域に関わる人を増やせば、ゼロサムがプラスサムになるのです。国の制度の枠にとどまらず、独自の知恵で関係人口を増やす。これが人口減少時代の自治体の姿ではないでしょうか。
〇日時・場所
2017/09/20(水) 18:30~20:30
日本財団ビル2階 大会議室
〇登壇者
菅野 典雄 (福島県飯舘村長)
福嶋 浩彦 (中央学院大学 教授・元消費者庁 長官・元我孫子市長)
安冨 圭司 (佐那河内村 総務企画課)
山下 祐介 (首都大学東京 准教授)
〇コーディネーター
加藤 秀樹(構想日本代表)
詳細は構想日本HPをご覧ください。
また、当日の中継はこちら(Youtube)でご覧いただけます!
2年前に8人の首長と構想日本が共同提案した「ふるさと住民票」について、その意義や実際の運用状況、今後の課題や方向性などを議論しました。
以下は、構想日本総括ディレクターの伊藤が当日に実況ツイートしたものです。
参考としてご覧ください。
第239回J.I.フォーラム「自治体発『ふるさと住民票』というアイデア~「関係人口」を増やしゼロサムからプラスサムへ~登壇者は、菅野典雄さん(福島県飯舘村長)、福嶋浩彦さん(中央学院大学教授・元消費者庁長官、安冨圭司さん(佐那河内村総務企画課)、山下祐介さん(首都大学東京准教授)
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
まずは安冨さん「徳島県佐那河内村は2400人の村。約1000年続いている。自治が強いのが特徴。講中(頼母子講)や常会、名中など村内の様々な単位で助け合いの文化が続いている。佐那河内村の自治は『お互い様』や『持ちつ持たれつ』などの見えないものを含んでいる」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
安冨さん「佐那河内村内23カ所ある資源ゴミ集積所すべてで利用のルールを決めるワークショップを実施。すると集積所がきれいになる。最近は観光バスが販売所と勘違いして止まるくらい。それだけでなく10年間で60%のごみ処理経費を削減。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
安冨さん「時代の流れによって個人や家族で完結できてしまっていて地域住民であることの意味が薄れてきた。しかし、個人(私)だけですべてが完結することはあり得ない。だからこそ関係性の再構築が必要。見えない関係性を見える化するための手段がふるさと住民票。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
安冨さん「現在ふるさと住民は51人。見えない関係性を本当に構築したい人になってほしい。ふるさと住民の中から村独自の地域おこし支援員になってもらっている。支援員は公募によって10万円の活動資金を使って地域おこしの活動をすることができる外からでも村のための活動をしてもらうことが可能」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
安冨さん「単に数を稼ぐのではなく内発的な動機付けの中から強い関わりを持ってくれる人になってほしい。併せて、転出していく人にもなってほしい。人口流出によって権利も流出している。親の死去による相続などで空き家や土地の所有権が村外に出ている。その人たちとの関係性を作りたい。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
次に飯舘村菅野村長。「東日本大震災によって全村避難。今年3月31日にようやく避難解除。現在戻っているのは450人くらい。元の人口の6000人になることはあり得ない。当然ながら若い人が戻ってこない。20年先の未来が一気に来た感じ。でもそれであきらめるわけにはいけない。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
菅野村長「全村避難から戻って来なかったとしても飯舘村に愛着を持っている人は多い。そこでふるさと住民票。日本人はまじめだから白黒つけたがるが、住むか住まないか、白か黒ではない発想、柔軟な制度がこれから必要になる。これからふるさと住民票の準備をしていきたい。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
次に山下さん「過疎地の高齢化の進んでいる自治体の中には子育て支援など若年世代への対策が遅れる場合がある。外にいる人の考えをどう取り入れるかが解決策になる。今は住んでいなくても過去住んでいた人、行ったことのある人の意見を取り入れることがふるさと住民票では可能になる」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
山下さん「ふるさと住民になった人が移住してもらうことを目指す必要もないと思う。極端に言えばその町に住民がいなくなってもいずれ来るかもしれないふるさと住民が1000人いても良い。回りから支える仕組みづくりができるのがふるさと住民票。この考え方の延長線上に二重住民票も出てくる」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
福嶋さん「ふるさと住民票のきっかけは飯舘村のように避難をしている人が住民票を移動しなくても避難先の行政サービスを受けられるようにしようという特例法。この考えは震災という特殊事情ではなく反対に住民票がなくてもまちに関わりを持ちたい人はいる。その考えを具現化したのがふるさと住民票」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
福嶋さん「これから日本の人口は減っていく。今はそれぞれの自治体が人口の奪い合いをしているが、そもそも人口が増えたら必ず幸せなのだろうか。人口が減ってもそこに住む人たちが幸せであれば良いのではないか。だからこそ住む人ではない関係人口の考えが出てくる。ふるさと住民票の本質はその部分」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
福嶋さん「ふるさと住民票は個々の自治体が柔軟に多様なやり方をするのが大切。その代わり、原則はおさえておかなければいけない。ふるさと住民票の理念は、行政の枠組みだけで考えず行政区域外にいても『住民』であることを見えるようにしようということ。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
加藤「これまでふるさと住民になっている550人くらいの動機は、出身者、ふるさと納税をした人などが多い。香川県三木町は40台未満が6割と若い人が多い。鳥取県日野町は人口5%にあたる180人がふるさと住民になっている。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
山下「ふるさと住民の感想を聞くと、満足をしている人が多いように思う。カードが好きで入る人もいると聞く。まだ走り出したばかりなのでまずは色々な実験が必要。今日来ている自治体関係者は是非まずやってみて実験をしてほしい。さらにふるさと住民が横のつながりができるとさらにおもしろくなる」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
福嶋さん「ふるさと住民と良い関係を築ける自治体は実際に住んでいる住民と良い関係ができている自治体と言える。三木町は総合戦略を作るにあたって無作為抽出の住民の議論を中心に据えた。また自分は専門家会議の委員長を務めたがすべての議論に町長と副町長が参加。そのような自治体はあまりない」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
加藤「3年前、国の号令で全国の自治体が総合戦略という5年計画を作った。計画を作るために1000万円の交付金を国が出した。そうすると多くの自治体はコンサルに任せて頭を使わない。すると計画を作ることが目的となり実行に移そうとしない。その中で三木町は本気で実行するための計画作りをした」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
山下さん「ふるさと住民がどのような関わりを持っていくのかを注目して見ていきたい。また、転入してくる時に行政は何の関わりも持ってもらうことなく『手続き』だけをしていたように思う。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
菅野さん「産まれて来て良かったなと思うことが大切なのは当然。自分のこと、自分の家族のことだけを思っていてそう思えるだろうか。誰かや地域に何かをしたことの喜びがある方がより産まれて良かったと思えるのでは。そのための一つとしてふるさと住民票が広がると良いのではないか」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月20日
菅野さん「最近は行政にすべてをお願いする雰囲気が強いように思う。まずは自分のことは自分でやる(私)、それでできないことは助け合う(共)、それでもできない時に初めて行政が税金を使って行う。もう一回日本全体がこういう事を考えた方が良いのではないか」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) 2017年9月21日
(※上記は、構想日本オフィシャルブログ「『人口の奪い合いをやめて関係人口を増やそう』第239回JIフォーラム実況ツイート」より抜粋)