1.趣旨
住民と自治体とのかかわりは多様化しています。仕事などで居住地を時々変える必要がある人、ふるさとに強い愛着を持ちながらも離れた都市で暮らす人、災害のために元の居住地を長期間離れなければならない人、親の介護のために複数の地を行き来する人など様々です。(相続などで)親の居住地やかつての住民登録地において行政手続きを行う人も少なくありません。
こうした社会の変化の中で、一つの自治体に住民登録し、一つの自治体に税金を払い、一つの自治体から行政サービスを受けるという単線的な関係では、流動化した生活、さらには地域への愛着度とのかい離がしばしば起こるようになってきました。
現在、全国の自治体は「地方創生」に取り組んでいますが、人口減少時代に地方が活力を取り戻し、魅力あふれる地域として再生していくためにも、従来のような住民と自治体の単線的関係だけではなく、多様な背景を持つ人たちと自治体の柔軟な関係を作ることが不可欠となっています。住民の「複線的」な生き方に対応した、「複線的な関係」の構築が求められています。
そこで今回、私たちは、様々な理由から自治体に対し関わりを持ちたいと考える人を対象に、自治体がまちづくりへの参加の機会や必要なサービスを提供し、つながりを確かにする制度を提案します。
2.目的
(1)自治体に対し自分の「ふるさと」だという気持ちを持って貢献したいと考える人と具体的なつながりを築き、その知恵や力をまちづくりに生かします。
(2)ふるさと納税を行った人に向けて、単なるもののやりとりにとどまらず、まちづくりへの参加の機会を保障したり、必要とされるサービスを提供したりして、本来のふるさと納税の意義を高めます。
(3)近年増加傾向にある複数地域居住者(都市と田舎を行き来して生活している人など)や別荘を持つ人が、地域に溶け込みやすくする環境作りを行います。
3.共通名称
ふるさと住民票 (ただし、自治体ごとに独自の名称を付けて構わないことにします。)
4.対象者の例
- 自治体の出身者
- ふるさと納税を行った人
- 自然災害などで他市区町村へ避難移住している人
- 複数の地域で居住している人や別荘を持つ人
- 住民登録をしていない一時的な居住者(学生含む)
5.提供するサービスや取り組み例
- ふるさと住民票の発行
- 住民と登録者を対象にした専用HP アカウント、専用SNS ページ
- 自治体広報などの発送(e-mail、郵送)
- パブリックコメントへの参加(e-mail、郵送、電話、Fax、SNS)
- 条例に基づく住民投票への参加(参考投票)
- 公共施設(公民館、スポーツセンター、駐車場など)の住民料金での利用
- 相続や親等の介護関係書類の郵送登録の受付、ふるさと住民票による本人確認
- 祭りや伝統行事への紹介・参加案内
6.その他
- 制度の詳細は、個々の自治体が自由に設計
- 法律に基づかない自治事務として実施
- 総合戦略策定において登録数の目標を定めることも可能
<共同呼びかけ人(※2015年8月記者発表当時)>
片山 健也 (北海道ニセコ町長)
高橋 正夫 (北海道本別町長)
菅野 典雄 (福島県飯舘村長)
清水 聖義 (群馬県太田市長)
金井 康行 (群馬県下仁田町長)
松本 武洋 (埼玉県和光市)
景山 享弘 (鳥取県日野町長)
筒井 敏行 (香川県三木町長)
福嶋 浩彦 (中央学院大学教授・元千葉県我孫子市長)
山下 祐介 (首都大学東京准教授)
加藤 秀樹 (構想日本代表)
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